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うつわの様々な表情

器の表情

 

器は同じ作家が全く同じ材料で作ったものでも表情は様々です。

例えば粉引の器。

同じ材料で作っても、還元焼成をすると土の中の鉄分が出やすくなりポツポツと黒い斑点が出ます。

酸化焼成をすると、鉄分があまり出ず、比較的白っぽく焼き上がります。

 

又、造り手の意図ではなく、自然の炎の力に任せて焼き上げられる場合もあります。

そうすると器は窯の中で置かれた場所、火のかかり具合、その時の天候などの条件により様々な表情の器が出来上がります。

形が歪んだり、釉薬が溶けて流れ出たり、器の表面に小さな穴が空いたり。

西洋の考え方では欠陥とみなされることも、とくに日本の茶の湯の世界ではこのような現象は器の景色として大変珍重されました。
不完全の中に美を見出す、日本独特の美意識によるものだと思います。

又、器は使い込んで行くうちにどんどんと変化をしていきます。

 

『うつわを育てる』ということを聞かれたことがおありでしょうか。

特に土モノの陶器は、私たちの手元に来た時は80パーセント位しか出来上がっていないと言われています。

これは器として用途をなさないということではなく、私たちの手元にやって来た器をいかに美しく育てて行くかが、残りの20%に託されているのです。

 

丁寧に扱うことはもちろんですが、使う前にお水に浸す。

そうすることにより、器にもともとあった貫入がうまい具合に育っていって、味のある表情になって行きます。

こうやって器は少しずつエイジングしていきます。

そして、ふとした時に私たちは器の変化に気がつくのです。

 

静かに佇む“小さな美”を見つける『目』を大切に。

陶器にみられる様々な表情をご紹介します。

 

 

■ これは、貫入といいます。素地と釉の収縮率の違いにより、器の表面にひび割れが生じています。

■ これは石はぜと言って、焼き物を作る粘土に入っている砂石が焼成時にはじけてこのようになっています。表面に現れた一つの景色となっています。

■これはピンホールといって、器の焼成中に釉の成分がガス化して抜け出し、針でつついたような小さな穴が表面に出来ることがあります。

■ これは釉溜りといいます。器に掛けた釉薬がとけて流れ、露のように丸くたまっています。とくに茶入れではとても珍重されています。