2019-01-16
粉引の楽しみ

粉引小鉢にお浸し
高麗時代に朝鮮半島では青磁が盛んに焼かれていたそうですが、王朝がだんだんと弱体化していき、官窯で働いていた陶工たちが各地へ拡散していきました。
こうして青磁は衰退していきますが、その後に時代の流れとともに、『粉青沙器』と呼ばれる新たな陶器が出てきました。
『粉青沙器』は白色の化粧土を主体としていて、代表的なものに粉引や三島などがあります。
官窯白磁の少し質が落ちる土が使われたそうですが、日本では『李朝の粉引』というと、趣がある器としてとても茶人に好まれたそうです。
粉引の魅力は何と言っても表情の豊かさでしょうか。
粉引は長い年月とともに、少しずつ、少しずつ変化していきます。
例えば唐津の粉引は褐色の胎土に白化粧土を施し、透明釉をかけて焼きます。
それぞれの土や釉薬の収縮率が違うことにより、焼成すると貫入という小さなヒビが入ります。
この貫入の中に水が浸透して器の表情が変化していきます。
茶人たちはこれを趣がある風情として『雨漏り』と呼んでいます。
これは日本人独特の感覚なのかもしれません。
写真の器は中里隆の粉引小鉢です。
日々の暮らしの中で、小さな素敵な発見がありますように。
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